雪山登山の孤独

 

目の前は、真っ白な雪山

それなのに、
なぜか
遠くでカモメの声がする

山なのにカモメ?
海辺のカモメが雪山で飛んでいる?

一体、ここはどこなのだろう?

足元を見つめる、
やはり雪が積もった地面の上に立っている私

ギュウギュウと足踏みをして雪が軋むのを感じる

私は再び、景色を見渡した

やはり雪山が目の前に広がっている

一体ここはどこなんだろう?

再び耳を澄ませると
あれだけ激しく鳴いていたカモメの鳴き声は止んでいた

気がおかしくなったのか、

再び自分の耳の感覚に集中させていたが、
やっぱりカモメの鳴き声はしない。

一気に体の緊張がゆるみ、
肩を落とす

「私の行く先はどこなのか?」

太陽を見る

太陽のある方角が私の進む道だ、
そう教えられてきたから、
その通りに進んできた。

本当に、大丈夫なのか?
不安になった。

耳の奥に、シュワシュワ、キリキリとか、
機械がこすれるような音がする

また私は幻聴に陥ったのか?

自分の感覚が今までと全く違う反応を示し、
自分がおかしくなってしまったのかと
また不安になる

それでも正気に戻ろうと
目の前の風景をもう一度確かめる

ああ、やっぱり、
白い風景だ

白い雪に覆われた山、
日差しが照りつける雪から反射される白い光線
なにもかもが白い世界

「私の視界は間違いなく、いる場所も間違っていない」
と、
ほっとするけど、
あまりの白さに
頭がクラクラしそうだ・・・・

膝に手をついて、
足元の地面の白い雪を見ながら
腰を屈めるように一息つく

しばらくして、
私にはまた、幻聴なのか、
遠くから音が聞こえてくる。

「人の声がする。
一体誰の声なんだろう?」

耳を澄ましてみると
父の声だった。

でも、どこを見渡しても、
父はいない。

なぜだ・・・。
と思ったが、遮るように声がする。

「目印もない山を登るには、
太陽が要だ。

どんな天気でも
雲に隠れた太陽でさえ、見つけ出すのは
私のたくましさ。

風と光と太陽と、私。

そしてこの脚だけが、私の勇気づけるのだ」

その声がやむと、
私はあらたに何も考えずに歩を進めていた。

ひたすら、
太陽の光のある方へ、
自分の足を照らす白い光をこの目に焼き付けて。

ザクザクと雪を踏む足音を聞きながら。

足裏に地面をしっかりと感じながら。

歩く。
歩く。
歩く。


しばらくすると、
私は山の頂上に立ち、
そこから海を見下ろしていた。

あのカモメは、海が側にあることを知らせてくれたんだな、
とわかり、
自分の感覚がおかしくなったのかと疑った自分が
もう一人の自分に謝った。

そんな自分を許したサインのように
カモメの鳴き声が聞こえて来た。

その声は祝福のように私には感じられた。

「孤独よ、おめでとう」と。

そしていつのまにか、
周囲の音よりも
真っ先に
自分の鼓動と吸う息の音と吐く息の音を感じている私がいた。

安らぎと希望とともに。